母はもう会話ができません。
口にするのは単語だけ。
それもほとんどが「お父さん!」
父が亡くなる前は、「お父ちゃん」「お母ちゃん」「姉ちゃん」と呼んでいたのが、今は「お父さん」
父が亡くなったことははっきりとはわからなくても、母なりに不安を感じているのかもしれません。
他にも「痛い」「はい」と言うことはあります。
少し前までは、たまに思いがけない言葉を発し、周りを驚かせたり笑わせることもありましたが今ではほとんどありません。
ところが先日、母を座椅子に座らせようと、引き上げていた時に「そんなことしてたら、あなた足がだめになるよ」
久しぶりに聞いた母らしい言葉。
嬉しいのはもちろん、びっくりしました。
ほぼ1日叫んでいる母からそんな言葉が出てこようとは。
全てわからなくなってしまったと思っていた母ですが、奥底にはまだ母らしさが残されているんだと思いました。
こちらの言うことが通じなくても、今まで以上に話しかけ、優しく接したいと思った出来事でした。