かわいい
日中寝ているか叫んでいるかになってしまった母。
薬を変えてちょっと調子が良くなったのか、この頃は叫ばない時もある。
そんなときは、キョトンとして部屋の中を眺めている。
何か気になるものがあると、じっくり観察している。
母の部屋の襖は閉めて、他の部屋には行かないようにしている。
たまに襖を開けて台所で用事をしていると、いざって部屋の出口まで来て、「ここはどこだろう?」という顔をして台所を眺めている。
キョトンとした表情をしていると、90歳になる母だがかわいく見えてくる。
普段つらそうに叫んでいる母を見ているので、気持ちがふっと明るくなる。
こういう時間が少しでも増えてくれるようにと思う。