まさかの「物とられ妄想」。
認知症では、知られた症状だが、まさか我が家にも。
ついにと言うべきか。
せめてもの救いは、お金や食べ物じゃなかったこと。
先日の夕方、母がベットで寝ている父に何かを話しかけているので、聞いてると「他人のものとって、返しなさいよ」
「はっ」として、様子を見に行くと、母が父のタオルケットをつかんでひっぱっている。
一瞬、何と声をかけるかためらっていると、父が「何言ってるんだよ、ボクのだよ」とタオルケットを引っ張り返し、抱え込んだ。
ふたりの言葉づかいも、目の前の光景も、今までの私の知ってるものとはちがう。
「お母さん、それはお父さんのだよ。お母さんのはこっちのかわいいピンクのだよ」と言ってみる。
「そう?」といいつつ、まだ表情のかたい母のに耳打ちする。
「お母さんのは洗濯してキレイだよ」
事実、こないだ、夜中にトイレに行けず濡らしてしまって、洗濯したばかりなのだ。
母が何事もなかったかのように笑う。
父は「なんだよ、人がせっかく寝てたのに。」
と言いながらトイレに向かう。
今まで聞いたことのない、父の言葉。
2人とも認知症なのだからと、自分にいいきかせる。
私にはかなりのショックでも、もう、ふたりは毛布のことは忘れてしまっているのだし。
今日1日、無事にすごせたなら、良しとしよう。