母は娘の私のことを「お母ちゃん」「お父さん」「お母さん」「姉ちゃん」、いろいろな呼び方で呼ぶ。
「身近な誰か」という意味でだろう。
母にお茶を出したときに、「お父さん、やわらかいね」
多分「お父さん、優しいね」
まあ、お父さんじゃないんだけど。
母が思っていることが、言葉で表しにくくなってからだいぶ経つ。
始めのうちは様子を見ていれば、言いたいことはなんとなくわかった。
だんだん言葉がちくはぐになってからは、想像力を働かせて、なんとか読み取るようにしている。
思っていることを、なかなか伝えらないのは、もどかしいだろう。
言葉が通じにくくなった分、スキンシップを増やし安心感を伝えるようしている。
「大丈夫だよ」や「ありがとう」や「よかったね」、自然とそんな言葉を多く使うようになった。
不思議と少し優しくなれる。